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Rated Disc Battle

ディスクレビュー

エントリー

  • 2016/08/01

EVERLASTING HELL DAMNATION / TERROR FECTOR

EVERLASTING HELL DAMNATION / TERROR FECTOR
発売日
発売中
レーベル
RITUAL RECORDS
関連URL
http://www.ritualrecords.com/

HELLCHILD『...To The Eden』の豪華リイシューを機に復活を遂げたRITUAL RECORDSから、長崎のスラッシュメタル伝説・TERROR FECTORが1994年に残した唯一のフル・アルバムが再登場。
『...To The Eden』に続き、こちらも1991年にリリースされた貴重なデモ音源『Slaughter To Survive』収録のCDをカップリングしたエクスパンデッド仕様!全編に亘ってリマスタリングも行われています。

“長崎のKREATOR”の異名を持ち、その名の通り初期KREATORを思わせる硬質かつ鋭角的なリフワークと、ブルータルな突撃リズムを兼ね備えたサウンドを聴かせるTERROR FECTOR。
しかしそのサウンドメイキングは所謂スラッシュメタルとは異質の圧倒的な重量感を備えており、しかもがっつりコンプがかかった現在で言うところのデスラッシュとも違うパンキッシュなロウネスを併せ持つ特別な存在。
個人的な話をすれば、リリース当時スラッシュメタルという触れ込みで手に取ったものの、UNITEDとは全く異なるスタンスで楽曲が作られていることは一聴して明らかで、デスメタル / グラインドコア世代の新しいスラッシュメタルを実感することになった重要作。アルバムのリリースに先駆けてリリースいる『To The Marrow - Japanese Deathnology 撹乱』(Toy's Factory / 1993)や『Deadly Sins』(MCR Company / 1993)といったコンピレーション・アルバムにもBEYOND DESCRIPTIONやHELLCHILD、MULTIPLEX、SATANIC HELL SLAUGHTER、TRANSGRESSORといった面々と並んで違和感なく収められていたわけですが、これがガチでNWOBHM流れのスラッシュメタルだったらちょっと浮いていたのではないかと思うわけです。ハードコアパンク~グラインドコアやオールドスクール・デスメタルを体感しているからこそ出来るスラッシュメタルが、彼らの持ち味。

今回のリイシューでは、Boris作品でおなじみの中村宗一郎氏(PEACE MUSIC)が手掛けたリマスタリングがハマりまくって、ヴァイオレントな魅力がタフに増幅された仕上がり。
これを聴いたら、今まできみがデスラッシュだと思って聴いてた凡百のバンドなんて絶対聴けなくなるぞ(笑)!
SLAUGHTER LORDや独POISON、『Beneath The Remains』~『Arise』期のSEPULTURAが好きな方はもちろん、初期VADER、MALEVOLENT CREATIONなんかのファンにもぜひ聴いていただきたいです。

text by 久保田千史